ちょっとした工夫でできる!日頃のピアノ地震対策


  今回の執筆者:

ぴあの屋ドットコム 近藤るい
(大阪府吹田市)


 こんにちは。ぴあの屋ドットコムの近藤るいと申します。今回はピアノの地震対策についてお話ができればと思います。

 突然ですが日本で記憶に残る災害といえば、阪神淡路大震災や東日本大震災ではないでしょうか。私自身、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町で育ち、実家は運良く大丈夫でしたが友人や知り合いで悲しい思いをした人々は大勢いました。その地震をきっかけに余震も定期的にあり、私自身5年前から京都にいますが数年前にも大阪で大きめの地震がありました。そのせいで地震対策についてたくさんのお客様からお問い合わせがありました。

 ピアノ地震対策と言われるとグッズに手を伸ばしがちですが、日頃の見直しでお金をかけず対策することもできます。また対策グッズもいろいろ種類がありますので、その中でも代表的なものをピックアップしてご紹介ができればと思います。




日常的にできる対策


 まず、ピアノを設置するうえで守ってほしい注意事項です。

・ピアノと壁は密着させない

 地震が起きますとピアノは前後に大きく揺れますので、密着してしまうと逆に壁に当たった衝撃で前に倒れてくる恐れがあります。背中側に10~15㎝ほど開けておくことで前方への転倒を防ぎます。また、ピアノの重心は実は背中側にあります。弦の張力を支えている鉄骨がある為です。ふすまや障子を背中側にして設置すると後方に転倒する恐れがあります。

・ピアノの上に物を置かない

 よくピアノの上にメトロノームを置かれる方が多い印象にあります。それ以外にも写真立や置物、はたまた花瓶を置かれる方もいます。そもそもピアノの上に物を置くのは共鳴雑音の原因になるのでお勧めしません。特に花瓶は倒れた際にピアノに水が染みて不具合をおこしたらひとたまりもありません。また、落ちた衝撃で外装にも深い傷がついてしまいます。外装修復はけっして安いものではないので、泣く泣く修復を断念されたお客様もいらっしゃいました。

・ピアノのそばで寝ない

 阪神淡路大震災は早朝に発生しました。寝ている人も多くいる時間帯だと思います。YouTubeで大地震を想定した実験動画が出てきますが、アップライトは前方に倒れ、グランドピアノは壁に衝突しながら大きく横移動します。もしその状況に自分や大切な人がいたら…と思うとぞっとします。なるべくピアノに巻き込まれない環境づくりが大切になってくると思います。






ピアノ地震対策グッズ



◇ ゴム製のインシュレーター

 インシュレーターとはキャスターの下に敷くお皿のことです。一般的には樹脂製の物が多く見られます。しかし、大きい地震が起こりますと大きくピアノが移動したり、また樹脂製の物は割れてしまいピアノが傾いてしまうことから、倒れてしまうリスクが高まります。ゴム製のインシュレーターの特徴は

・地震対策グッズの中で比較的安価で求めやすい。
・通常のインシュレーターと比べサイズが大きく、また設置面積が広く、底面もゴム製のため地震によるピアノの移動を最小限に抑え転倒防止する。
・キャスターの入る溝が深いため脱輪防止になります。また種類によってはベルトでインシュレーターに固定するものや後輪キャスターの材質がアクリル板になり地震発生時に割れることによってピアノを壁側に傾けるものもある(アップライトのみ、一部のモデルは使用不可)。


◇ 敷板タイプ(アップライトのみ)

 インシュレーターはキャスターの下に設置するものですが、敷板タイプは前後のキャスターの下に敷くものになります。敷板タイプの特徴は

・地震発生時にあえてわずかにピアノが移動することで(ソリ方式)、本体のゆれる運動量を抑えることができる。
・こちらも後方のキャスター設置面がアクリル板になっているものがあり地震発生時に割れることによって壁側に傾けることができるものもある。(一部のモデルは使用不可)。

 予測できない地震に完全な対策を施すのはピアノに限らずどんなものでも難しいです。あくまで対策であり完全に防ぐものではありません。しかし、最初に示した通り基本的な設置方法などの対策が命を守ることにつながります。もし地震が起きたときは、なによりすぐにピアノから離れることです。ピアノは豊かな気持ちにさせてくれる反面、状況次第で危険な楽器になります。これから購入を考えている人に限らず、すでに持っている方も設置方法などを見直すきっかけになってもらえると嬉しいです。



ぴあの屋ドットコム 近藤るい
(大阪府吹田市)


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